歯周病は治りますか?
投稿日:2025年6月9日
カテゴリ:ブログ
蕨歯科クリニックのブログをご覧の皆さまこんにちは!
蕨歯科クリニック院長の木村です。
最近は寒暖差が激しく、体調を崩しやすい気候になってなっておりますので十分ご自愛ください!
蕨歯科クリニックによくある質問コーナー Q&A vol.160
Q歯周病は治りますか?
A 治りますが、一概にはそうとは言えません。
これは、歯周病が治ると言うことが何を意味しているのかによります。
何故かというと一度壊れた歯周組織(歯肉、骨、セメント質)は完全には元に戻らないため、
治るということが元の状態に戻ると言うことだとすると厳密には治らないと言うことになるからです。
それでは当院では歯周病をどう評価しているかと言うことですが、歯周病を判定する上で3つの指標があります。
①歯周ポケット
②動揺度(歯が動くかどうか)
③BOP(歯肉からの出血)
この中で一番重要視しているのは③の出血になります。出血が目標値である10%以下(口腔内全体の割合)の出血になることを当院では目標にしています。
①の「歯周ポケット」が短期間で改善することをゴールにすると、「歯周外科」という骨を削り歯肉を切るポケットエリミネーション(ポケットの減少)の処置が必須になってくるからです。
歯周外科は悪いことではありませんが、歯肉が下がり審美性が低下すること、術後知覚過敏症状が起きやすく、またポケットの再発の可能性があります。
②の「動揺度」が短期間で改善することをゴールにした場合、歯周補綴と言って全顎的に被せ物で連結したり、抜歯が避けされない状況など大きな治療の介入が必要になります。
ですから①②をゴールにすると患者さんのご希望と乖離する場合があります。
アメリカの歯周病治療では、この2つを大事な指標としてゴールに設定していますので、このゴールがいけないことだと言っているわけではありません。
それでは、③の「出血」をゴールにすることの優位性は何かと言うことですが、歯周ポケットはあくまで炎症が起こった結果、歯周組織がどのくらい破壊されたのかを診ています。
動揺度も同様に炎症が起こった結果どのくらい歯周組織が破壊され、歯の支えがなくなってしまったのかの指標になります。
言わば2つの指標は過去をみている指標になります。
それでは出血は何をみているのかと言うと、現在炎症がアクティブに起こっている場所(細菌が存在している場所)がどこにあり、量によってどのくらいの炎症の大きさがあるのかを診ています。
これは、出血がある場所は炎症が起こっている場所なので、炎症の結果としてこれから骨や歯肉が破壊されポケットが深くなったり、動揺が生まれる可能性がある場所だと判断できます。
つまり、出血という指標はポケット、動揺のように過去をみているのではなく、これから起こりうるリスクの未来をみているといえます。
当院が目指しているのは、前述した通り歯周病で破壊された歯周組織は完全には元に戻らないので、現在の噛めている状態を維持していくということが歯周治療の目的であると考えています。
最後に出血がない状態(細菌がいない状態)を長期間(年単位)に維持することにより、ゆっくり歯周ポケットも浅くなっていき、動揺度も改善していく傾向がありますのでご安心ください。
残念ながら歯周病は完治してリスクがなくなることはなく、生涯にわたってリスクがあり続けます。
ですので、継続的なメンテナンスが重要になってきます。
患者さんの人生をお口から当院でしっかりサポートさせて頂きますので一緒に頑張っていきましょう!
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